秩父宮記念公園は、昭和16年9月から約10年間、秩父宮両殿下が実際にお住まいになられていたご別邸を、秩父宮妃勢津子殿下が平成7年8月にお亡くなりになられた際のご遺言により御殿場市に御遺贈いただき、園内を整備し平成15年4月に開園した公園です。敷地面積は約1万8千坪(東京ドームの約1.5倍)、標高約500メートルにある庭園は、両殿下が愛された山野草を始め四季折々の花々を楽しむことができます。
秩父宮雍仁親王殿下について
皇太子嘉仁親王(大正天皇)の第二男子淳宮(あつのみや)として御生まれになり、20歳になり御成人と同時に秩父宮を創立されました。宮号は、秩父嶺が明治天皇の崇めていらした帝都所在の武蔵国の名山であり、殿下の御住居の西北に位置し、往古日本武尊(やまとたけるのみこと)が奥羽御平定の後にこの地方を通られた歴史にちなみ選定されました。
若き日の殿下は様々なスポーツを愛好され、「スポーツの宮様」と評されましたが、とりわけ登山とスキー、ボートを好まれ、英国留学中にはマッターホルンに登頂されています。晩年には陶芸もなさいました。
また、戦時下より一貫して戦争拡大政策に批判的で、戦後は御別邸においても御療養生活を送りながら執筆活動をなさいました。その御人柄は広く国民から親しまれていました。
勢津子妃殿下について
外交官松平恒雄(旧会津藩主松平容保の四男)長女節子嬢として御生まれになり、大正天皇皇后であった貞明皇后と御名前の表記が同じであったために御成婚を機に勢津子に改名されました。
学習院初等科時代には毎夏、中畑にあった樺山侯爵別邸(現在の御殿場市立西中学校)で白州正子様と楽しく遊ばれたということで幼少時より御殿場に御縁がありました。御殿場をこよなく愛された妃殿下は殿下が薨去された後も夏期を中心に御別邸で生活されました。
昭和14年5月には(財)結核予防会の総裁に就任されました。殿下が薨去された後も殿下の御看病の御経験を踏まえて、結核の撲滅を目指し熱心に活動されました。御殿場御別邸の御殿場市への遺贈は、妃殿下の御遺言によるものです。
秩父宮雍仁親王殿下御事蹟
- 1902年(明治35年) 6月25日 皇太子嘉仁親王(大正天皇)の第二男子として青山御所にて御生誕
- 1909年(明治42年) 4月12日 学習院初等科御入学
- 1920年(大正9年) 10月1日 陸軍士官学校御入学
- 1922年(大正11年) 6月25日 秩父宮御創立
- 1922年(大正11年) 10月25日 陸軍少尉に御任官
- 1925年(大正14年) 5月24日 英国御留学に御出発
- 1928年(昭和3年) 9月28日 松平勢津子様と御成婚
- 1929年(昭和4年) 10月10日 明治神宮体育大会総裁に御就任
- 1937年(昭和12年) 5月12日 英国皇帝陛下戴冠式に御名代として御参列
- 1941年(昭和16年) 9月16日 御殿場御別邸に御移居
- 1945年(昭和20年) 5月25日 赤坂表町御殿本館空襲にて全焼
- 1952年(昭和27年) 1月20日 鵠沼御別邸に御移居
- 1953年(昭和28年) 1月4日 薨去
出典・参考文献:
「秩父宮雍仁親王」「御殿場清話」「銀のボンボニエール」「思い出~秩父宮妃殿下」「秩父宮と昭和天皇」「秩父宮妃勢津子」
うぐいす亭
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